
非営利組織の経営
突然ですがみなさん,ドラッカー先生の名著
「非営利組織の経営」を読んだことはありますか??
数年前,もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)で一世を風靡したドラッカー先生は,言わずと知れたマネジメントの大家ですが,
企業や行政など様々な組織のマネジメントの仕事&研究を経験した結果,
「非営利組織の経営がいっっっちばん難しいわ・・・(意訳)」
と気づき,晩年は非営利組織の経営に夢中でした。

私は遠い昔,学生時代に一度読んだきりで
内容ほとんど覚えてないなあ・・
はっ!でももしかして今こそ読み直すタイミングなのでは・・・
と思いついてしまったので,
せっかくなので,読みながらLIVE的にブログでも内容をシェアしていきたいと思います。
第1回めの今日は,
第1章 ミッションについて〜からお送りします。
企業,行政とNPOの違いについて
ドラッカー先生によると,
企業は,財とサービスを供給する。
顧客が買い,お金を払い,顧客のニーズが満たされた時にその役割を果たす。
政府はコントロールする。
自らの政策が意図した成果をもたらした時にその役割を果たす。
非営利組織は,政府や企業とは違う何かを行う。
非営利組織は,人を変えた時にその役割を果たす。
非営利組織が生み出すものは,治癒した患者,学ぶ生徒,自立した成人,すなわち変革された人の人生である。

ということで,
非営利組織(長いので今後NPOと略します)とは,
一人ひとりの人と社会を変える存在である
と言っているんですね。
なので,まず考えるべきは
「では,どのように(どうやって)人や社会を変えていくのか。」
ということで,第1章がミッションについての話になっています。
リーダーシップとミッション
ドラッカー先生は,NPOの人たちによく聞かれたそうです。
「リーダーの資質とは何か?」
(私も,うっかり聞いてしまいそうですが・・・笑)
ただ,この問いから見えてくるのは,
リーダーシップが全てであって,それ自体が目的であるかのような考えで。
そのようなリーダーシップはまちがっている,とドラッカー先生は言います。

自らへの関心を中心に置くリーダーは,間違ったリードを行う。
歴史上最もカリスマ的だった3人(ヒトラー,スターリン,毛沢東)ほど人類に災厄をもたらしたリーダーはいなかった,と。
重要なのはカリスマ性ではなくて,ミッションである。
したがってリーダーがはじめに行うべきことは,
自らの組織のミッションを考え抜き,定義すること。
では,ミッションはどのようなものが有効なんでしょう?
良いミッション・悪いミッション
ミッションは,
その団体のメンバー全員が,自分のやるべきことが明快に分かるようなものではなくてはならない,と定義されています。
そうでなければ,単なる意図に終わってしまうと。
たとえばこんな例。
ココが病院だったとします。

良いミッション
「我々のミッションは,患者を安心させることである」
→こういうミッションがあると,働いている人全員に行動の指針ができますよね。
その結果,このミッションを抱えた病院では,
救急治療室に運び込まれる者は,必ず1分以内に診察されるという行動を導きました。
それが患者を安心させる唯一の方法だと判断したんですね。
悪いミッション
「我々のミッションは,健康の維持である」
→病院は原則的に病気を扱う場所であり,健康を扱う場所ではありません。
病院は健康の維持に失敗した時に登場します。
このミッションの問題点は,そういう風に言われたところで,
病院で働いている人全員が,自分たちのとるべき行動について何も知り得ない,ということにあります。
ミッションは行動の指針となるものを
というわけで,第1章のまとめになりますが,
リーダーがまず着手するべき仕事は
自分のカリスマ性を高めたり,リーダーシップを磨いたりすることではなくて,ミッションを決めること。
そしてそのミッションは,
団体の全員が迷うことなく行動できるような,指針となるものでなくてはいけない。
ということですね。

さて,あなたの団体のミッションは何ですか?
行動の指針となるものでしょうか??
私個人的にはミッションを代表が決めても,みんなで決めても,どっちでもアリだと思うんですが。
これと決めたミッションを指針にして,メンバーみんなが自分で考えて行動できるように導いていくのがリーダーシップなんじゃないかなぁ,と思いました。
私の感想はそんなところで。
次回もお楽しみに〜♪
<参考書籍:非営利組織の経営 P.F.ドラッカー ダイヤモンド社>
山崎梨紗
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