コラム

社会的インパクト評価へのわくわくを語る。(実践前夜)

こちらの記事はちょうど一年前、
SIMI(社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ)さんのセミナーを受けてワクワクした気分で書いたものです。

(それから一年弱、自社で社会的インパクトマネジメントを私なりに実践中なのですが、その試行錯誤についてはまた別の機会に!)

事業の「聖域」っぽさが気になっていた過去。

数年ですがNPOのコンサルティングをしてみて気づいたことがあります。

それは、

ある団体の事業というのはその団体の「やりたい事業」で

それが実際にどんな成果や結果(つまり社会的インパクト)を生むかという視点はスルーされていることが多い、という点です。

もちろんNPO活動なんて誰に強制されてやるものでもないものなので

活動をされている方々は(特に代表は)ご自身に社会に対する問題意識がある方がほとんどだと思っています。

なので、その事業は

「個人や身の周りのレベルでは社会的に有意義な活動であることは自明」のため

あえて事業内容について精査する、という試みはあまりされていないのではないかと思います。

もちろん

団体内で「私たちの活動の価値とは」「私たちが取り組んでいる社会課題」などを議論・共通認識化することはありますし、そういう場に私自身何度も関わったことがあります。

ビジョンミッションなどを立てる重要性はだいぶ知られてきているので、そこに取り組む団体さんは増えてきた印象です。

ただ、そこはそこ、事業は事業で分かれていて

そこの議論が、事業自体を精査する動機付けにはなっていない気がしていました。

いや、いいんです、いいんですよ。

自分たちがやりたい活動じゃないと継続できないですし。やりたい活動があるから始まったというNPOの在り方は自然だと思います。

でも、なんか事業って「聖域」だよなあ。
そこに手を入れるのって余程のことがない限りないよなあ・・・
という思いは消えず。

コンサルタント時代、NPOのみなさんと一緒に色々と悩みながらも

事業についてはあんまり手を入れられない自分がいたのです。

ロジックモデルというものがありまして。

話は変わりますが、ロジックモデルというツールを手に入れたばかりの頃、わたしはとても興奮していました。

このモデルがあれば、今までゴニョゴニョしていたことが全部すっきり整理できる!と直感的に悟ったんです。

ロジックモデルとは、事業とアウトカムをつなぐロジックを整理して可視化できる図です。
(下図の出典は一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ様)

スクリーンショット 2021-01-08 13.07.08

そして、実際これがとても役立ちまして。

「ある資本(資金や人材)を投入した結果、
ある事業ができて、
その事業がこんな結果や成果を生み出して、
それが中長期的には社会的にこんなインパクトを与えますよ。」

ここが語れるようになると、資金提供者の理解も急激に深まりますので

ロジックモデルGET以降にお手伝いした助成金申請などはもう楽々で、無敵スター(☆)状態になっていました。

ただね。ひとつ問題がありまして

ロジックモデルって作るのにとても労力がかかるので、一度作ったらなかなか更新できないんですよ。

(元々、一旦きれいに作ったものに手を入れるのって勇気が要りますよね。)

私がそう感じていたように、団体のみなさんもそう思う方が多かったようで。

なので、そのロジックモデルを作った以降、というか

ロジックモデルにある事業を行った以降はどうすれば上手くいくんだろう・・・今後に活かせるんだろう・・・

そこは自分でも常に引っかかっていました。

「評価」に憧れるが苦手意識が積み重なる。

2018-2019年頃、NPO界隈で「評価」という言葉をよく耳にするようになりました。

なんとなく、この言葉が私のもやもやを解決してくれそうな気がする・・(ロジックモデルのときと同じですね笑)

と直感的に悟って情報収集していたのです。

が。

「評価」だけのセミナーや講演を聴いても、なんだか抽象的で全然わからなかったんです。

そういうセミナーでは様々な評価手法が紹介されてたりするんですが、

大体難しいので(数字やデータに苦手意識があるし)頭に入ってこないし、結局セミナーをいくつか受けたあとも全然わからないままでした。

そして、

そんな体験を何度もするうちに、なんと「評価」自体に対する苦手意識が出てきてしまいました。

まだ何も取り組んでないのに。我ながらおもしろすぎる。。

誰のための、なんのための評価か。

大体「評価」っていう言葉が抽象的で、しかもなんか威圧的なんですよね。

誰かから一方的に査定されるみたい。成績表みたいな。

もしかしたらNPO活動されてる方の中にも、私のように、

「自分たちの活動を他人に評価されたくない」って

評価に対してネガティヴ寄りのイメージをお持ちの方が結構いるのかもな、と肌感覚では思ったりしています。

もしくは「自分たちの活動は数値やデータには現れないものなんだ」っていう自負をお持ちの方もいそうだな、と。

(あ、特定の人のことは何も思い浮かべてません!)

で、ですね。

もしかしたらそうやって評価に対してネガティヴな意識をお持ちの方もいるかもしれないので、

ここでようやくこのnoteで私の言いたいことを伝えるとすると

「評価は自分たちでするものだよ!」というものになります。

あと

「評価は自分たちの今後の活動のためにするものだよ!」

っていうのも追加でお願いします。

評価は事業の「後始末」か?

他にも、いろいろと溶けた誤解は山ほどあります。

まず「評価は事業が終わった後にやるもの」というやつ。

評価を、

事業が終わって「あー終わった!よかったね!!」という達成感の中でやろうとするからイヤになるとこもありますよね。

「あー、あとは後始末の評価か、めんどくさいな!」

こうなりますよね。(え、なりません?)

でも実はですね、「評価」は計画段階から始まるんですよ・・・。

事業の計画を立てた時点で、
その計画自体を評価するのが「事前評価」です。

・事業目的は社会のニーズに対応しているか?(ニーズ評価)
・事業目的達成に向けて計画されている事業内容は適切か?(セオリー評価)

みなさん、事業計画の評価なんてしたことあります?

いいとこ、全体的に見返して妥当性のチェックをするくらいじゃないですか?

ということでですね、

IML社会的インパクト・マネジメント研修を受講して

「評価は計画段階から始まっている」という一文を見た瞬間に心を鷲掴みにされた私は、すっかり評価の虜となっていたのでした。

(ツボが独特ですみません)

まだ遅くない評価。いつからでも始められる評価。

でもNPOのみなさんの中には

そんなこと言っても活動はとっくに始めているし、計画段階なんてとっくに過ぎちゃってるからもう遅いよ!
と思われる方がいるかもしれません。

それが・・・・遅くないんですよ。

事前評価があるように事後評価ももちろんある。

今からでも、いつからでも、事業の評価はできます。評価して更新して、次の事業から変えていくこともできます。

PDCAのループに(実はこれにも苦手意識あるけど便利だから使う)

どこかのタイミングで、えいっ!て入れば大丈夫です。

あと個人的にテンションが上がったポイントとしては、

事前評価(計画段階の評価)に

ステークホルダーの参加・協働

これを入れるというものがあります。

計画段階で
直接のターゲットだけではなく、その周囲のステークホルダー(家族・関係者・支援者・行政など)にもインタビューなどの手法により評価に参加してもらう。

こうすると、団体内の自分たちだけで作った計画よりも精度が高まるのは想像つきますよね。

視野も広がるし、事業のシミュレーションもしやすくなります。

これからどうする?評価

ということで、評価の面白さに開眼した私でありますが

評価にもいろいろあるので、何の評価に力を入れようかなと考えています。

たとえば「何のための評価」という観点で見ると

ステークホルダーへの説明責任確保・吸引力の強化
事業の開発・改善
組織学習、意思決定過程の強化

など他にもいろいろありますが、

わたしが一番力を入れたいのは「対ステークホルダー」です。

そしてアウトプット自体にも。

「自分たちの活動はどのようなことを目的にしてどのように計画され、その結果どのようなインパクトを出しているか」

ここがアウトプットできれば、ステークホルダー(ターゲット、ターゲットの関係者、資金提供者、役員、スタッフ)への説明責任も果たせますし

活動の透明性も信用性も上がって、さらなる支援や協力を期待することができます。

特に企業の方では、インパクト投資を惹き付けるために評価のアウトプットを重要視したい考えです。

これからもnoteに実践したことや学んだことを記録していこうと思いますので、よかったら今後もおつきあいください。

また、このnoteを読んでくださっている方が、インパクト評価に興味を持っていただけたらうれしいです。

山崎 梨紗