資金の悩み

①NPOでちゃんと稼ぎたいあなたにこそ伝えたい資金調達

こんにちは、ヤマサキです。

これから主にNPO(民間非営利団体)のみなさんに向けて、『はじめての資金調達』的なことを書いていこうと思います。

第一回の今日は、資金調達とは何のこと?なぜ必要なの?という話をさせて頂きますね。

NPOの資金調達(ファンドレイジング)とは?

さてさて、NPOにとっての資金調達…ファンドレイジングとは一体何のことでしょうか?

それは、NPOが活動のための資金を個人、法人、行政などから集める行為です。

NPOの一般的なイメージ的には、資金源というと『寄附』や『会費』などが連想されるかもしれません。

ここではその2つに『助成金』と『事業収入』を加えた全部で4つを、NPOの資金源として挙げます。

ファンドレイジングとは、この4つの資金を調達する行為のことを指します。

NPOも事業収入で稼げるけれど・・・。

さて、みなさんの中には、こう思う方もいらっしゃるかもしれません。

「事業収入があればいいんじゃないの?なぜ寄附や会費を集める必要があるの?」

確かにそうです。NPOが自主事業、もしくは行政などからの受託事業を受けてお金が回っているのであれば、なにも大変な思いをして寄附や会費を集めなくていいのではないか、と思いますよね。それもある意味では正解です。

NPOだって事業収入で収益を上げることはできます。

しかし、それはNPOが採算の取れる領域で活動を行っている場合に限り、です。

NPOと採算性、永遠の課題。

もしあなたのNPOが、企業向けの研修などの事業を行っている場合。

たとえばワークライフバランスの研修や、営業パーソン向けのコミュニケーション研修など。これは採算性の取りやすい分野です。事業収入だけでも充分にやっていくことができる可能性があります。

しかし、もしあなたのNPOが、生活保護世帯向けの就職支援などの事業を行っている場合はどうでしょう?

この場合おそらく、その事業の直接の受益者から、(世間一般で言うところの)相場程度の報酬は頂けないのではないかと思います。

考えてみると、そもそもNPOという存在は、営利企業や行政では採算が合わずに手が差し伸べられない、社会のスキマにいるような方々(または領域)を対象として活動を行うことがほとんどではないでしょうか。

そうすると、そもそも採算の取れる領域で活動をしていないNPOは、いわゆるふつうの稼ぎ方である事業収入『以外の』ところで工夫して、活動資金を調達していかなければならないというわけなのです。

NPOの役割、それはアドボカシー。

もうひとつ、NPOはなぜ事業収入だけではなく『寄附』や『会費』、『助成金』も集めていく必要があるのか、その理由をお伝えしたいと思います。

NPOの一つの役割として、先ほど申し上げたように、制度と制度のスキマにいて必要充分なサポートが受けられないでいる方々を助けるような活動を行う、というものがあります。いわゆるサービス提供者としての役割です。

しかし、NPOにはもうひとつ、大切な役割があります。それは、自分たちが問題だと感じ、解決したいと思っている社会課題を広く社会に認識してもらうという役割です。これをアドボカシー(権利擁護)と位置付けます。

たとえば先ほどの例で言うと、もしあなたのNPOが企業向けに『ワークライフバランスを整える研修』事業を行っているとしますね。そして採算も取れている。

では、ずっとその研修事業だけを行っていればいいのかと言うと、私は必ずしもそうではないと思います。

確かにその研修を通して、その研修受講者に対しては大切な価値は伝えられている。

でもそれだけだと、『NPOである意味』はあんまりないと思うんです。

NPOがNPOである役割を果たすためには、事業だけで閉じてしまうのではなくて、社会課題の解決を図るために、自分たちの行っている活動の価値を『広く社会に』認識してもらうという活動も求められている、という側面があります。

たとえば、自主事業(企業向け研修)で得られた利益を活用して、ワークライフバランスや父親の子育てについてのキャンペーンを行うとか。また、目的に沿うような映画の上映会を安価で開催し、地域社会で多くの人を啓発するとか。

つまり、目の前の問題の解決だけではなくて、問題の根っことなる社会課題を少しずつでも解決するために、社会にアプローチすることまで考えてこそNPOだと思いますし、そういうNPOが結局は多くの人の共感や支援を集め、成長していくのだと感じています。

なので、それも併せて考えると、NPOには『事業収入』の他に、『寄附』や『会費』、『助成金』といった支援性の資金も不可欠なのではないかな、と。

『寄附』や『会費』収入があるのは、そのNPOがそれだけ社会にアプローチした結果、共感・支持をされている証拠ですし、そのように多くの人に支持されていて信頼できる団体だからこそ『助成金』も受けやすくなる。

すべての資金源は、密接に関連し合って、相乗効果を発揮するものなのです。

戦略的ファンドレイジングの必要性

・・・ということで、思っていたよりカタイ話になってしまいましたが。

NPOのファンドレイジングにおいては、『事業収入』、『寄附』、『会費』、『助成金』の4つの資金をバランスよく調達していくための戦略が必要となります。

それはなぜかというと、NPOの役割としては『自らの事業による社会課題の解決』だけではなく、『社会からの様々な主体の参加による社会課題の解決』という2つの面があるから、でしたね。

NPOは、ある意味、社会貢献の『受け皿』ということもできます。

心のどこかでは社会貢献したいと願っている方々に対して、支援するという行動(金銭面・労力面ともに)のスイッチを押せるようなファンドレイジング戦略を立てていきましょう!

具体的な話は、また次回以降書いていきますね。

それでは今日はこのあたりで。

山崎梨紗

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